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『窓から逃げた100歳老人』ヨナス・ヨナソン:読書感想

柳瀬尚紀 訳 西村書店

西村書店

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内容:
 100歳の誕生日パーティーを目前に、おしっこ履きのまま老人ホームを逃げ出した主人公アラン。お酒(とくにウオッカ!)が大好き、宗教と政治が大嫌い。ひょんなことから手にした大金入りスーツケースをめぐってギャングや警察に追われることとなり、途中で知り合ったひと癖もふた癖もあるおかしな仲間とともに珍道中を繰り広げる。 一方、過去のアランはというと、爆発物専門家としてフランコ将軍やトルーマン、スターリンと日夜酒を酌み交わしては、エポックメイキングな人物として世界史の重大シーンにひょこひょこ顔を出す。アランの逃避行と100年の世界史が交差していく、二重構造ならぬ「百重構造」のドタバタコメディ! 全世界で800万部を突破した驚異のベストセラー、待望の日本語版。2014年、日本での映画公開予定11月。



 ↓ 以下、ネタバレあり。





     このアランなら80歳の時でも同じことしてただろうか?
    してたような気がする。60の時でも、いや、若い時でも同じことしてたような気がする。アランにとって年齢はさほど関係無いようだ。とどのつまり、なるようになる、のアランなら何時の時代でも深く考えないで、一獄一会から見張り頼まれたスーツケースそのまま持ってバスに乗りそう。若い頃なら、キャスター付いて無くても支障ないから、より確率高いよね。



     アランが、二人の男の殺害と一人の男の殺人未遂(ギャングのお金でも、盗んだら罪になるの?)のつじつま合わせを検察官に話してる時、私も検察官と一緒に頭の中がごっちゃになって、もういい! って叫びたくなりました。



    p78
    「復讐はいいことではない」と、アランは諫めた。「復讐は政治みたいなものだ。ひとつのことが必ずべつのことを引き起こし、なおさら悪いことになって、さらには最悪になる」
     しかしエステパンは退かない。
    「腕が毛深くて鋳造所オーナーと同じ言葉をしゃべれないからって、それで猿って決めつけるってのはないよな」
     アランは同意せざるをえない。そうしてふたりの友は妥当なところで折り合った。エステバンは牛乳に小便を混ぜるだけにしておくことにした。




     若い頃は仲間をそう説いたアランも、99歳の時には愛猫を殺した狐に復讐してしまう。アランが初めて愛情を感じた生物だったから? 単に年のせい?


    p399
     アランはそれまでの全人生でこれほど悲しい思いをしたことはない。そして悲しみはじきに怒りに変わった。老いたる爆薬の手練れは目にいっぱい涙をためてベランダに立ち、冬の夜陰に向かって叫んだ。
    「戦争したいってんなら、戦争をしてやるぞ、狐野郎!」
     生まれて初めて、ただ一度アランは憤った。ウォッカも、ドライブも(無免許運転)、長距離サイクリングも、怒りを静めはしなかった。復讐のために生きるのは情けない。それをアランは承知していた。しかしこのときばかりは、復讐が最優先となった。




     色々すったもんだあったアランも最終的には、母国スェーデンに帰りたかったんだね。自分で爆破しちゃったから家も無く、待ってる人も居ないのに、それでも。



    p209
    「香料入りだから旨味倍増、水入りだから目方倍増、スウェーデン産だから人気倍増」と、ボッセは解説した。

               中略

    「人間てのは愚かだよ」と、ボッセは言った。「フランスでは、フランス肉が最高。ドイツでは、ドイツ肉。スウェーデンでも同じだ。だからみんなのために、隠していることもあるのさ」
    「思いやりがあるな」と、アランは皮肉を込めずに言った。


     私も、日本産が一番安心だと感じています。だから容易く表示に騙される。本物の味も知らないで。

     永遠の学生・弟に、伯父の遺産全部消費された兄・ボッセ。弟のやり方をみると、うまいな~その手があったかと思うけど、滞りなく大学卒業してしまい、弟が卒業するまでは遺産貰えないボッセの立場だったらそりゃ怒るよ。絶交だよ。なのに急に聖書に興味持ち出すなんて、人生どう変わるか分からない。


    p355
    「それはもう、喜んで」とボッセが言った。「作り方は秘密ですぞ! 諺にあるじゃないですか、『ほんとに旨いものを食べたければ、作るところを食品監査官に見られてはならぬ』」



     そうです! どうして身体に悪い物って美味しいんでしょう?
    私、やめられそうもありません。ジャンクフード死ぬまで。
    人間もイイ人より、いい加減なひとの方が味があって面白いし。



    p243
    しかしアランは、ヘルベルトに新たな可能性はたくさんあると言った。どうせこれから強制労働収容所に行くんだよ、だからもし何事もなければ、きみは死ぬまで働くことになるんだ。そうだろう?

              中略

     アラン・カールソンは人生に多くを求めない。ベッドがあり、食べるものがたっぷりあり、何かすることがあり、ときどきは一杯のウォッカがあればいい。これだけの条件が適えば、たいていのことは我慢できる。ウラジオストクの収容所はアランの望むものをすべて提供した。ただし、ウォッカ以外。





     物質的には今話題のミニマリストなのかしらん?
    足下をじっと見降ろしての前向きな生き方。

     若い頃、精神科医の博士に手術されたせいで、男性特有の欲望には煩わされずに済むけど。お城のような家建てたい! とかカッコいい車乗りたい! とか名誉欲、出世欲もないの? これといってしたいこともないの? 爆弾も山羊の乳から酒造りも、特にしたいことでも無かったんだね。



    p256
     アランはヘルベルトが首尾よく任務を果たしたことをほめ上げて、ひと芝居も見事だと言った。ヘルベルトは顔を赤らめ、そんなにほめないでくれ、バカがバカを演ずるのはむずかしくないと言った。アランは言った。むずかしいんだと思っていたよ、これまで出会ったバカはみんな逆のことをしようとしたからね。





     き、キツイわ。私も、お前はバカだからバカを演じろ、と言われたら素直に従えない筈だもの。ヘルベルトが愛されるのは、自分のバカに素直で、謙虚なバカだからなんだろうな。



     意外や意外。あれだけのことしでかしたアランが老人ホームの窓から(何のことない一階だった)逃げたのは、ウォッカを飲んで死ぬ為だった。愛猫を亡くして以来、若い頃のヘルベルトのように早く死にたいと願っていたなんて。もっとも逃走劇の果てにヘルベルトの寡婦と再会して、結婚出来るんだもん、人生何があるか分らない。人生は冒険だ。


     アランのイイところは、いい加減を知ってるところ。
    自分のアドベンチャーで災難にあった人達に引き摺られない。悪気を持たないで、ロシアの町ひとつ爆破しちゃっても。後悔もしない代わりに開き直って悪党にもならない。こいつ嫌だな、この現場嫌だな、と感じたらさっさとその場から逃げ出す。被害者になりそうな人物を助けながら、縁故を深め広めていく。







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    tag : 窓から逃げた100歳老人 ヨナス・ヨナソン 柳瀬尚紀 爆弾 スーツケース アドベンチャーコメディ スェーデン

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    Author:唯
     読書感想が主です。探偵が登場する本格ミステリー好き。
    と言っても、難しいことは解らないのでトリックにはさほど関心無く、登場人物のやりとりを見るのが好きなだけです。

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