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『殺人者』深谷忠記:読書感想

あらすじ『徳間書店』
 21歳の母親が子どもを自宅に置き去りにし、保護責任者遺棄の罪で有罪判決を受けた。預けていた我が子を児童養護施設から引き取って間もなくのことだった。
 その後、N市の路上で男が殺され、さらに児童養護施設のある香西氏郊外で女の変死体が発見された。被害者はいずれも子どもを虐待していた――。
宮川刑事たちの捜査は混迷を深めるが、やがて第三の事件が起き、驚くべき事件の構図と゛殺人者”の姿が明らかに……。



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少女の祈りが、死を誘う?
連続殺人事件の現場に残された
殺人者には死を!」の文字。
浮かび上がる容疑者、深まる謎。

 人間の心の不可思議さに迫った問題作!



                
 ↓ 以下、ネタバレあり。





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     虐待が主題の話し苦手なのに、そのものズバリのタイトルに惹かれて、つい借りてきてしまいました。
    ――やっぱり、駄目でした。


     ここで言う殺人者は、虐待して子供の魂を殺す保護者のこと。
    児童心理学者の言う、ソウルマーダー。レイプもこう言われてますね。

     冒頭から虐待されている女の子の日記が記される。
    少女の祈り。
    てっきりこの女の子が犯人なのだと思うじゃないですか。
    ですから、この女の子が成長したのは誰だ? と探してました。


     児童相談所の職員、児童養護施設の職員、施設の子が通う中学校の教師。それとも今、虐待されている、中学生のゆふ?


     児童養護施設の職員、加奈が主人公なのかと思いました。
    この物語は、誰が主人公ってことないんでしょうか?


     ま、一番怪しかったのは、ゆふをテニス部に誘った明るい副担任彩子。この女性、意識して明るく振舞っている中に、本当に明るい性格になったらしから、エライ! 生徒から慕われる先生、男性からも魅力的に映る女性、それでも幼いころに受けた虐待のせいで、夫との性交渉の後でも嘔吐してしまう。それで結婚生活も駄目になった。これからも人と交われないだろう、と諦めている。カウンセリング受けても駄目なんでしょうか?


     母の再婚相手、実の祖父と続けてオオカミの餌食にされた彩子。
    祖母が退治してくれたようです。本当だとしたら凄い女性。自分の子供と夫を殺せるなんて、潔い! と感心していたら、子供じゃなかった。亡くなった息子の嫁だった。巻き込まれたのか、娘の悪夢を放置している母親も同罪と思われたのか。孫は、祖母を恨まなかった。ママを殺した! と恨む子も居るか。


     そんな気の毒な境遇なのに、連続殺人の容疑者として警察の取り調べに合い、真犯人が自首してくれたけど、自分のせいで犯行が行われたことを知り、教師も辞めなくてはならなかった。
     一回ヤラせてあげたんだから、諦めてくれればイイのに、ストーカーになった男は部屋に忍び込み、彩子の小説を読み日記と思い込んでしまう。彩子が、虐待している親達を殺害しようとしている、彼女に罪を犯させる位なら自分が……と決心したと言うもの。
     何かモヤッとする犯人、動機でしたね。



     

    人間の心の不可思議さに迫った問題作!




     通報で児童相談所の職員が訪問しても子供に合わせない、踏み込めないのイイことに誤魔化す、恫喝して追い払う。鍵をかけて閉じ込めておいて、何日も留守にする。邪魔なら捨てればイイのに、育てる能力が無い親に代わって、子供を育ててくれる国に預ければイイのに。


     児童を守ると言うことの難しさ。そんな親なら居ない方がイイ! と思ってましたけど、親が面会に来る度明るくなる子供から、親を引き離そうとするのは余計なお世話なのか?


     最近外国であった殺人事件。子供を保護しようとした女性職員が、その子の母親に殺害された。「余計なことするからだよ」被害者に対して批判する声の方が大きいそうだ。そんな無情な……
    そんなこと言うなら、児童保護法なんて何の意味も無いじゃん!


     自分を慕う子供の心を、解ってて弄ぶ親も居る。アル中の美里のような。性質悪い。アルコール依存で本人が破滅していくのはしょーがない。子供を巻き込まないでやって欲しい。せめて子供に依存しないで欲しい。
     そして悲しいことに、虐待された子供の方が親を慕ってしまうものらしい。子供が親を慕うのと、親に見切りをつけるのは何処までが限界点なのか? 子供が成長する前に、取り返しのつかないことになるかもしれない。最悪の場合を恐れて、係の人達は子供から親を引き離すのだろうに、助けたつもりの子供にも恨まれてしまう、精神的負担と労力の割に、割の合わない仕事だ。

     
     焼きそばを焼いているフライパンで、頭を殴った美里が殺されたことで、学校に行けるようになった一也は犯人を恨むのだろうか? 
     私は、平井の言ってたように、感謝する日も来るのではないだろうか? と思ってしまう。あのまま美里の下に戻ったら、今度こそ本当に殺されてしまうかもしれないし、何時かは一也が母親を殺していたかもしれないから。ゆふだって、高校時代彩子が敵討ちし損なった親友のように、耐え切れずに自殺してしまうかもしれないし。


     それだからこそ、保護されている子供が、親が迎えに来てるのに家に帰ることを嫌がるなら、その時は絶対親に帰してはいけない! と改めて思いました。

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    テーマ : 読書感想文
    ジャンル : 小説・文学

    tag : 殺人者 深谷忠記 児童養護施設 虐待 オオカミ

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    唯

    Author:唯
     読書感想が主です。探偵が登場する本格ミステリー好き。
    と言っても、難しいことは解らないのでトリックにはさほど関心無く、登場人物のやりとりを見るのが好きなだけです。

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