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『真桑瓜』青山文平

『ベスト本格ミステリ2015』本格ミステリ作家クラブ選・編

内容紹介 
 ピアノの白鍵と黒鍵は、1オクターブを12等分した音を並べたもの。
 1年は12カ月。星占いは12星座。音楽、時の流れ、夜空の神秘に調和を見出す12という数字。
 この本には、11の短編小説と1つの評論が収められています。不思議な謎を理知的に解き、調和を与える本格ミステリ12作の宴。
 お楽しみください。

 2014年に発表された本格ミステリの短編と評論から、本格ミステリのプロフェッショナルが選び抜いたベスト作品集!


 1.『最後の良薬』長岡弘樹
 2.『心中ロミオとジュリエット』大山誠一郎
 3.『三つの涙』乾くるみ
 4.『三橋春人は花束を捨てない』織守きょうや
 5.『死は朝、羽ばたく』下村敦史
 6.『舞姫』歌野晶午
 7.『緑の女』櫻田智也
 8.『真桑瓜青山文平
 9.『理由(わけ)ありの旧校舎』初野晴
10.『許されようとは思いません』芦沢央
11.『髪の短くなった死体』青崎有吾


【評論】
ゆるいゆるいミステリの、ささやかな謎のようなもの。 千野帽子



 
 
 あらすじ⇔蔓葉信博;解説ベストミステリ2015よりp421~427引用

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あらすじ
 文化六年、八十歳以上の旗本同士の集まりで、刀傷事件が起きたという。刀を抜いて斬りかかった方も、斬られた方も気脈の通じ合う仲だっただけに、その動機がわからない。そこでお呼びがかかった徒目付の片岡は、思いがけないところでそのきっかけを見つけるのでした。



 ↓ 以下、ネタバレあり。






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    p314
    「こわいですね」
     系図を「ただの空だ」と言った、広小路の浪人の言葉が思い出された。
    「実、はなにもない。使う者が実をこしらえる」と。




     食べ合わせの図、昔うちの台所にも張ってありました。平成の知識で見直すと、合ってるもの関係無いものがあるそうで、ゆるゆるだったんですね。昭和でもゆるゆるだったんだから、江戸時代はもっとゆるゆるでも不思議じゃない。でも、簡単に医者にかかれない昔の方が、もっと真剣に取り組んでいたんじゃないでしょうか?


    p312
    「たまたま、その頃、刷り物も手に入れました。やはり、と思いました。やはり、真桑瓜はいけなかったのだと思いました。一方で、そんなものが関わりがあるはずもないとする、かつての己も居て、日々、綱引きをしておりました。午のあいだはだいたいかつての己が勝って、陽が沈むと、俗説を受け入れる己が勝ちます。健吾が逝ってからは、その繰り返しの日々でした」
    「それがだんだんと、夜が長くなっていったのですか」
    「ご明察です。齢を重ねるほどに、午が薄れてゆきました。白傘会に入る頃には、もう一日中が夜です」
    「岩谷様を、怨まれたでしょうね」
    「最初は、岩谷殿の言葉を鵜呑みにした己を責めておりましたが、直ぐにそんな余裕はなくなりました。お若い片岡殿に分かっていただこうとは思わぬが、独りで老いていきますとな、かつては己にとって玉だった諸々が、どんどん石になっていきます。昔、それがしにとって、大川の桜と上野御山の桜はまったく別の花でした。大川は八重、御山は一重です。それがしには、けれんみなくすっと咲く御山の桜こそが桜でした。が、いまはどうでもいい。それがしを埋め尽くそうとする、無数の石の一つにすぎません。誰でもない、己がひとつひとつ、玉を石に変えていくのです。いつしか自分の居る場処は、色を失った石だけがどこまでも転がっている。そのうち、ほんとうに、石の軋む音が聞こえるような気になって、ああ、こんなところで死にたくないなと思うのですが、どうにもなりません。そんな己を思い知るにつれ、岩谷殿を怨むことしかできなくなりました」



     玉だったものが石に変わる老後なんて嫌です。怖いです。
    昼よりも夜の方が長くなる。哀しいけど、仕方ないことなのか?


     二人の子には早死にされ、妻にも先立たれ、腹に腫物がある独り暮らしの老人。それに比べて、岩谷殿の方は、息子夫婦と同居している。この辺も、岩谷殿を怨む理由じゃないかと思います。



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    テーマ : 読書感想文
    ジャンル : 小説・文学

    tag : 真桑瓜 青山文平 武士 刀傷 動機 徒目付 食べ合わせ 老後

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    唯

    Author:唯
     読書感想が主です。探偵が登場する本格ミステリー好き。
    と言っても、難しいことは解らないのでトリックにはさほど関心無く、登場人物のやりとりを見るのが好きなだけです。

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