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『友情』:武者小路実篤:読書感想

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 夏目漱石の『こころ』と対極な作品だと思いました。
現在はどうかは知りませんが、私が高校生の頃の教科書には、『こころ』の方が載っていました。
 大宮が義理固く過ぎて、リアリティが無かったからかなぁ~?

↓ 以下、ネタバレそのもののあらすじ。






        

あらすじ『新潮社』
 脚本家野島と新進作家大宮は厚い友情で結ばれている。野島大宮のいとこの友人の杉子を熱愛し、大宮に助力を願うが、かねてから大宮に惹かれていた杉子野島の愛を拒否しパリに去った大宮に愛の手紙を送る。野島は失恋の苦しみに耐え、仕事の上で、大宮と決闘しようと誓う――凛乎とした清冽な調子の中に青春期における友情と恋愛の相剋を描いた武者小路文学の代表作である。




 で、感想 ↓





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    ハイ野島完敗! ぐうの音も出ないよね。
    突然渡仏までして杉子の想いを断ち切ろうとした大宮
    ここまで友情に義理立てされたら、裏切った! とか恨めないよね。


     大宮の言っていた尊敬出来る人物を、野島に感じたのは最後。
    大宮と離れ、独りで生きていこうと決意した時。


     三人ともやるだけやったんだから(大宮の場合我慢するだけ我慢した)悔いは無いんじゃない。野島が残念なのは、他人を介して結婚を申し込む前に、直に(それが無理なら手紙で)杉子に告白しなかったこと。その時、杉子の口からはっきりと心の中を聞かされた方が、諦められたんじゃないの?


     野島を格下に観ていた大宮の方からは言えないよね。
    これが野島の方がお金持ちだったとか、男っぷりが良いとか、文才があるとかだったら、大宮も遠慮しなかっただろうけど。
     恋人としても結婚相手としても、大宮のスペック高いし。大宮からしたら貧相な野島が気の毒になっちゃうよね。


     大宮と杉子からしてみれば、さっさと告白して、身の程を思いしろよ! ってことだったかもね。



    p137
    第一、私の心に野島さまの愛は少しもひびかないのでわかります。大宮さま、あなたは私をおすてになってはいけません。私はあなたの処に帰るのが本当なのです。大宮さま、あなたは私をとるのが一番自然です。友への義理より、自然への義理の方がいいことは「それから」の代助も云っているではありませんか。どうぞ、私をすてないで下さい。私はあなたのものです。あなたのものです。私の一生も、名誉も、幸福も、誇りも、皆、あなたのものです、あなたのものです。あなたのものになって初めて私は私になるのです。あなたを失ったら私はもう私ではありません。それはあまりに可哀そうな私です。私はただあなたのわきにいて、御仕事を助け、あなたの子供を生む為にばかりこの世に生きている女です。そしてそのことを私はどんな女権拡張者の前にも恥じません。「あなた達は女になれなかった。だから男のように生きていらっしゃい。私は女になれました。ですから私は女になりました」そう申して笑いたく思います。二人で生きられるものは仕合せ者です。ね、そうではありませんか。大宮さま。



     圧倒的勝者、杉子。大宮の方も一目惚れだった。
    野島と結婚する位なら早川とするって、野島を生理的に受け付けなかったの?


    p32
    「しかしその女のことは時々は思い出すだろう」
    「しかしその女でなければとは云えないだろう。男と女はそう融通のきかないものではないよ。皆、自分のうちに夢中になる性質をもっているのだ。相手はその幻影をぶちこわさないだけの資格さえもっていればいいのだ。恋は画家で、相手は画布だ。恋するものの天才の如何が、画布の上に現れるのだ。ダンテにとってビアトリチェはただの女ではなかったろう、神のようなものだったろう。しかし他の恋する男にとってはただの女だ。ある男から見れば雌にすぎなくも見える。恋が盲目と云うのは、相手を自分の都合のいいように見すぎることを意味するのだ。相手はそう唯一と云うことはないのだ。その人にめぐりあわなければ恋は生じないときまったものじゃない。彼女になる資格のあるものは世界に何千、何万といる。だから自分の内にある恋も生きるのだ。もし彼女が世界に一人きりだとして見たまえ、齢ごろになるとなにはすてても相手をさがして歩かねばならなくなる。しかし恋の相手にぶつかる位は、学問をした片手間で沢山だ。又毎日の仕事をした余暇で沢山だ。むしろ逢わないでよそうと思っても、つい逢う程、彼女は世界にごろごろしているのだ」
    「しかし」と野島は云った。「だが一生彼女に逢わない人もあるだろう」
    「いや、それは布があっても画のかけない人だ」



     武子のことを気になっていても告白しなかった仲田は、自説通り武子が結婚しても引き摺らない。しかし、野島は例えこの先結婚相手が見つかっても、杉子のことを生涯想い続けそう。悲しいことに。


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    tag : 武者小路実篤 友情 三角関係 初恋 親友 野島 大宮 杉子 作家 脚本家

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    Author:唯
     読書感想が主です。探偵が登場する本格ミステリー好き。
    と言っても、難しいことは解らないのでトリックにはさほど関心無く、登場人物のやりとりを見るのが好きなだけです。

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