スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『地獄・英国怪談中編傑作集』:南条竹則編

yjimage (11)

『メディアファクトリー』
 陰鬱なる塔に潜む“影”――これぞ英国怪談の醍醐味

 編まれる機会の少ない中編を、厳選して訳出!
デ・ラ・メーアの「シートンおばさん」新訳、メイ・シンクレアの傑作「水晶の瑕」、ブラックウッドの重厚な「地獄」を収録。




 鈍感なせいか読解力が無いせいか、私にはこの本の売りである傑作集として稀少な“中編”だったとこが、かえって無駄に長ったらしく感じた三篇でした。編者のあとがき読んでも、ピンと来ませんでした。私のようなミステリー好きや、昨今流行のホラー好きには、理解しにくい怖さじゃないかと思います。


 ↓ 以下、ネタバレあり。






    1.「シートンおばさん」デ・ラ・メーア


     これは……どこをどう面白がって何を怖がれと言うのか、解かりませんでした。三ヶ月前に亡くなったアーサーと、明らかにそれより後に、店の庇の下でまた会って招待受けて、結婚祝いを兼ねて訪問したら……ってなら、少しは怖さも解かるような気がしますけど。


     シートンおばさんは、魔術でも用いて甥を殺したの? 気に入らない結婚相手アリスを連れて来たアーサーを、精神的に追い詰めて自殺させた? アーサーはウィザーに救いを求めていたの? 目撃者として観ていて欲しかっただけ? メインのシートンおばさんの怖さも解かりません。



     他の方の感想読んで、――えっ? シートンおばさんって吸血鬼なの? そんな描写何処にあったけ? 気づきませんでした。

    yjimage (15)yjimage (12)


    2.「水晶の瑕」メイ・シンクレア


    p65
     やがて、その力の作用がだんだんとわかってきた――いかに確実に、有無をいわせず効力を発揮するかが。それが何を意味し得るかを考えると、空恐ろしくあった。はっきりしているのは、彼の知らないうちに――二人は離ればなれでいても――いつでも彼をつかまえられるということだ。
     もし彼をつかまえて、思い通りのことをさせられるとしたら? ああ、考えただけでぞっとする。
     アガサにとって、それほど忌まわしいことはあり得なかった。自分が彼をつかまえようとしないことが、二人の特異な関係の秘密であり、要点なのだ。一方、ベラは悲惨にも彼をつかまえようと試みたし、もっと悲惨なことに、彼女が持っていた(に違いない)独特の魔力で、それに成功したのだ。ロドニーをつかまえようとすることは、アガサにとって最後の裏切り、最後のふしだらな行為であったろう。一方、ロドニーの目からすれば、彼女の魅力が台なしになったろう。彼にとって、アガサはベラから逃げ出すためのよすがだった。だが、彼女はいつも自分の扉を、内奥の扉すら大きく開けておいた。だから、彼の避難所と隠れ家があるところには、そこから立ち去る道――彼女から逃げ出す道もまたあったのだ。





     「妻とはもう何年も……うまくいってないんだ。でも、病気の妻と別れる訳にはいかないんだ。解かってくれるね。君と居るとほんと癒されるよ」
     ロドニーはそう言ってるのでしょうか? なんかアガサ、ものすっごく都合のイイ女になってない? 男にとって、しがみ付く妻は許容範囲で、しがみ付く愛人は想定外? 愛人ってセラピストみたいなもん? 回復したら邪魔になったら、ポイッ? 


     タイトルの「水晶の瑕」の意味が解かるような解からないような……最後やっぱり解からない! と感じました。


     アガサの役目は、ベラとの夫婦仲がうまくいくようロドニーを治癒する為で、その為に“力”が与えられたのだから、ロドニーをつかまえようなんて思ったら、力が消えてロドニーのアガサへの恋心も消えてしまう……ってことですか?


     そんなら恋仲って形で出会わせないでよ。そんな力、別に要らないじゃない。妻帯者と判ってて始めた付き合いでも、週末に通う男性を独占したいと邪心抱いても当然でしょ。それが水晶の瑕


     だいたいこの唐突に現れた力、いったい何時何処から現れましたっけ? ここから理解出来ませんでした。

     


     慈悲の心で親友の夫、治癒してあげたのに、それが責務のようになるとは。アガサが窓を閉めて屋敷に閉じこもった時には、ミリーの夫の身代わりにされてしまったのかと怖くなりました。

     助けてあげたのにそれを当たり前と思って、恨まれちゃ敵いませんね。ミリーに、約束したのに夫を見捨てた! と責められた時、「だってあなた、夫には秘密にしてねって約束したのに、夫に私の力、ばらしちゃったからじゃないの」って、夫がまた悪くなったのは、口の軽いミリーのせいだと言い返してやれば良かったのに。


     アガサ、歯痒い位のお人好しです。独り暮らしの女、他人の家のことより、自分の幸福のこと考えてもバチが当たらないと思うんですが。



    3.ブラックウッド「地獄


    p303
    「一番大事なのは考えることだ。ぼくの知る限りね」とわたしは反論した。「しかし君は、感覚や感情の力を強調しすぎてはいないかね? そういうものは、宗教に於いては、土台ヒステリックと相場が決まっている」
    「この世界は、考えることと感じること以外の何だというの? 一個人の世界は、その個人が考えたり、信じたりすること――解釈に他ならないわ。他の世界はない。そして本気で考え、本気で信じない限り、永続的な世界を手に入れることはできない。たしかに、考える人は少ないし、信じる人はもっと少ないわ。たいていの人は出来合いの服を着て間に合せてる。強い人だけが自分の物を作り出すの。メイベルを含めて、凡人は、かれらのために製造られた物の中に掬い取られるだけよ。そして、それなりにやっていく。兄さんもわたしも、自分の物は自分でつくってきたけど、メイベルは違うの。彼女には自分がなくて、信仰を取上げられれば、彼女もそれと一緒に消えてしまうの」



     こ、これも解かり難いです。 

     どっぷり身も心も捧げて愛していた狂信家の夫を亡くした未亡人。屋敷を改築している間海外旅行中、夫の教えから解放されようとする。しかし、夫の支配から自由になったとしても、結婚前の晴れやかな気分には戻れなかった。むしろ虚ろ、屋敷の禍々しい住人達はそんな女主人に呼応するように、女主人が夫の教えから逃げれるなら、俺達も地獄に行かなくて済むのか、いやそれでもやはり天国にもいけないと、どっちつかずで入口で彷徨っているってこと? 塔は煉獄みたいなもん?


     メイベルの友人なのだからまだ三十代でしょう。 未亡人そんな不気味な屋敷さっさと処分しちゃえばイイのに。夫の教えを代理する、焼け焦げた髪を持つ女中もお払い箱にしちゃえばイイのに。都会に出て、もっと楽しげな人達と付き合えばイイのに。人の心はそう都合よく切り替えられないってことですよね。都会の狭いアパートで暮らしている(それでも女中が居る)メイベルと兄の方が自由で生きてるって感じ。人が羨むほどの境遇で身体も自由なのに、心が自由でないと楽しくないよね。


     結局、宗教団体に屋敷を使わせることで、未亡人は生気を取り戻し、メイベルと兄は安心して不気味な屋敷を去ることが出来た、ってこと?



     日本のメジャーな宗教は、異教徒無神論者は地獄に墜ちるぞ! 的な脅迫めいた教えをしてないとこが、良かったなと思っていたんですが。

     先日お墓で知った、『倶会一処』【念仏者は等しく西方浄土に往生し一つところに出会うこと】って『一期一会』と同じような意味らしい言葉も、逆に考えれば排他的な意味なんでしょうか? 
    この宗教信じなければ天国行けないよ! って意味?


    yjimage (1)images (1)





    ↓ よろしければポチッと押してやって下さいまし。

    にほんブログ村 小説ブログ 脚本・シナリオへ

    にほんブログ村

    人気ブログランキングへ

    関連記事
    スポンサーサイト

    テーマ : 読書感想文
    ジャンル : 小説・文学

    tag : 地獄 英国怪談中編傑作集 南条竹則 シートンおばさん 水晶の瑕 狂信家

    コメント

    Secret

    プロフィール

    唯

    Author:唯
     読書感想が主です。探偵が登場する本格ミステリー好き。
    と言っても、難しいことは解らないのでトリックにはさほど関心無く、登場人物のやりとりを見るのが好きなだけです。

    最新記事
    最新コメント
    最新トラックバック
    月別アーカイブ
    フリーエリア
    ↓よろしければポチッと押してやって下さいまし。 にほんブログ村 小説ブログ 小説読書感想へ
    にほんブログ村

    人気ブログランキングへ
    カテゴリ
    検索フォーム
    RSSリンクの表示
    リンク
    QRコード
    QR
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。