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『密室の神話(ミサロジー)』柄刀一:読書感想

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内容紹介
 四重密室の謎を解け! 会心の書下ろし長篇

 北海道の美術学校アトリエで、男子学生の死体が発見された。だが現場は内部から幾重にも施錠され…「密室の詩人」三年ぶりの新作。
     
 自分はどちらにいるのか?
受け入れられない現実と、悪夢への入り口と。驚異の四重密室

 「当代きってのトリックメーカーによる何とも得体の知れない密室。不気味で、不思議で、真相はとても刺激的。」
 有栖川有栖氏



 これも装丁が蒼くて綺麗! 題名ほどロマンチックなお話では有りませんでした。リアルでミステリーファン垂涎もののこんな犯罪行われたら、ネットで殺害内容の推理合戦白熱するだろうなぁ~。 


 ↓ 以下、ネタバレあり。





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    ――え~と、宇津木周に連続暴行事件主犯の濡れ衣を着せて殺したのは、政治家の息子・遠見昂だったってこと? 成人男性と二人がかりとは言え、両手にボクシンググローブ嵌めるだけで首つり自殺にみせかけられるもんなの? だとしたら恐ろしい。
     邪なのが遠見昂なら、国久を勝也と間違えて殴り殺しちゃったってのが違和感あるんですが。成人する頃には警察からゴロツキと思われていた、ってとこも。五年前からあれだけの犯罪プロデュース出来た邪なら、理の知恵借りなくても自分で後始末出来ると思うけど。別棟に死体移すのなら、管理人・宇津木に濡れ衣着せようとしそうだけど。 

     最後は、ばれなけりゃシラを通すよ、ってブラックなオチだったのかな? ユージの優秀な弟・冷が探偵役になって推理してくれるのかと思いました。

     宇津木がまた事情聴収されるのは間違い無いようだし、足跡のこと自白しなくても重要参考人にされそうだし、そうしたら理はど~するつもりなんだろう? これ幸いと濡れ衣着て貰う? 春霞の為の、死体損壊遺棄偽装工作なのだから、自首するとは思えないよね。告白文残して自殺するとか? 春霞に真実伝えたくないから、きっとあの二人の事までは書かないよね。そうしたら、連続暴行事件主犯と宇津木周の死の真相は藪の中。記者を故意に見殺しにしようとしている、宇津木一郎にとって身も蓋も無い結末になるんだけどな。それなら足跡偽装素直に白状しちゃった方がイイと思う。理が全てを告白しても、遠見昂が連続暴行事件の主犯で、宇津木周殺しの実行犯ってことまでは辿り着けないか。


     ――いや、やっぱり、違うか。連続暴行事件の主犯と、宇津木周殺しは、別の人間か。今回も、国久を殺した二人とかその他大勢のリーダー格で、二人はまず“彼”に指示を仰いだのかも。そして、理を利用しろと言われたとか。理の能力知ってるってことは、あの別棟利用してる学生の中に居るとかね。ネットで殺害現場公開していた広夢とか、髭を蓄えた部長だったりして…… 
     

     瞳も秘密保持の為必要ありと判断していたら、あの場で殺していた? 瞳も覚悟を持って、理に対峙して彼の車に乗ったんだよね。理から渡された缶カフェオレを躊躇い無く飲むし。瞳が缶カフェオレ飲み終わって動きを止めて、理が缶コーヒー抜き取った時には、やはり睡眠薬を盛ったかと思っちゃいました。



     瞳も恋人未満の国久が殺されて、偽装した犯人が、国久の親友だったと気付いたばかりだと言うのに、悲しみも怒りもせずとても冷静。
     理も、ツームな勝也のせいで親友を巻き添えにされたのに、怒らず助けた。秘密保持の為なら、殺しちゃった方が正解でしょうに。勝也に国久殺しの濡れ衣着せてもイイし。ついでにあの二人のも。



    p079~80抜粋
    「……わたし国久との付き合いに時間をおいてみることにしたんだけど、それも、春霞さんの言葉を聞いたからなの」
     えっ、と声を漏らした理の視線は、瞳の横顔に注がれる。「国久との仲、進んでなかったの?」
    「まあね」

    「……それがどうして、国久のことに?」
    「わたしも、しがみついていたのかな、って思ったの。二年前に急に父を喪って、その喪失の反動から実体のないスカートにすがってしまっていた……そうじゃないと言い切れるかどうか、自分に問いかけてみた。心にあいた穴と似たような形の存在で、空洞を埋めようとしているだけなんじゃないのか……。国久はあのとおりいい人で、頼りになって、ちょっとロマンチストで、わたしにとっては理想の夫――家族になるかもしれない……けど、女としてのわたしが男の彼を熱烈に求めているのかどうか、って、そんな風に、関係を見つめ直す気になっちゃって」

     通りすぎようとすると、戸賀は声をかけてきた。
    「それは、いつの話?」
    「えっ?」
    「眉村さんが、冷却期間をおいてみようと伝えたのは、いつ頃のことなの?」
    「別れ話に発展するかもしれない。あなたのそんな言葉、もしかすると意図的に、星埜春霞が誘導したかもしれないよね」



     う~ん、戸賀刑事の言ってること刑事故の邪推、とは思えなくなりました。だとしたら、春霞そ~とうな玉よのぉ~



     別棟で一緒に過ごした仲間のうち一人は殺され、もう一人は詐欺事件で警察から追われる身となり、卒業目前の学生も居る中での、統合失調症を治療中の教師の言葉。


    p275
    「みんな、自分が〈何者〉かになろうとしている」
     自分の意識の底で疼くなにかに触れたかのように、瞬きをする何人か……。
    「人の脳というのは意外と、実像の三割増しの自己評価をしているそうだ。余分にネジを巻かれているその部分がないとやっていけないのだろうし、多少なりとも肯定的に前を向かせる感触のその延長線上に、〈何者〉かになろうとしている自分の将来への期待値が隠れている。ま、その肯定的割り増し部分が隠れエンジンにおさまらないで、超人を夢見るほど肥大しちゃうこともあるけどな」
     苦笑しつつも穏やかな眼差しになった教師に合せるように、酒井がカラッと言った。
    「そりゃあ、先生、夢はでっかくっスよ」広夢の言葉づかいを真似したわけではないだろう。「具体化していなくても、充実した明るい未来を漠然とでも頭の中で広げている」
    「そうだよな。なんでもできる。なんにでもなれる。自分こそが、物事の価値の本質を知っている。名前が知られ、人気者になり、豪邸を持つ大物になる……。でも、そんな未来図の数パーセントでも実現できれば上出来で、ほとんどは似ても似つかない。猥雑な地べたをせいぜい身近に置く日常が待ち受ける。やがて気付くそうした現実とのズレに、どう対応していくか……」
    ……勝也は、認めたくないほどのズレを意識したのだろうか?
     そう問いかけ、理は、自分はどんな〈何者〉を思い描いているのかも見つめてみる。
     夢想というか、自分に都合のいい未来を期待して……。
     現実の厳しさに否定され、それでも努力し、調整して……。
    「こんなはずじゃなかった、などと思いすぎないことだ」千田は、じっと手元を見ている。「未来図や理想を過大視して、現実を悪者にしないほうがいいと思う。それをすると、現実は牙を剥く。そうでなければ、意外とやっていけるものさ」
     少しして、千田がまた口をひらいた。
    「たった一つであることが特別なんだと思えるようになったほうがいいのだと思う。作品でも、悲劇でも」
    「悲劇でも?」どこか惚けた表情で広夢が訊いていた。
    「同時多発テロで、亡くなった被害者の数は三千人にものぼった。衝撃は想像を超え、歴史的な悲嘆の場を人類は経験した。世界に暗黒の亀裂を入れられたと感じもした。でも、どうだろう。実際は、身近なたった一人の死のほうが、世界の終りに近いものをもたらしたりしないだろうか。率直に言って、見知らぬ数千人よりも、一人の死のほうが、その個人にとっての世界を変える。粉砕する。その命や死の重さ。大量死を思うなら、その重みを数千倍にできるかどうか……その観点もある」
     千田は、ああ、という声を挟んだ。
    「〈何者〉かと言うなら、一つの世界に匹敵する相手との関係性にそれを見つけてもいいさ」
     一人一人、口をつぐんで思いを追う……。


     理はすでに見つけていた。一つの世界に匹敵する相手との関係性に。息子が殺されたのが他人間違いだったなんて真実、春霞には耐えられない! きっとどうにかなってしまう! と理は思い込んだ。それで親友の遺体に偽装を凝らし、四重密室を造った。
    実行犯二人を殺したのは、星埜母子の復讐か? 自分の怒りに身を任せたのか? それともやはり秘密保持の為か? 


     そうですか、人は自分の評価を三割増しに見てるんですか。その隠れエンジンが消えちゃったら、真実を映す鏡を観ちゃったら、ムンクの叫びみたいになっちゃいそう。



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    テーマ : 読書感想文
    ジャンル : 小説・文学

    tag : 密室の神話 ミサロジー 柄刀一 四重密室 アトリエ 別棟 南十字星 美術学校

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    唯

    Author:唯
     読書感想が主です。探偵が登場する本格ミステリー好き。
    と言っても、難しいことは解らないのでトリックにはさほど関心無く、登場人物のやりとりを見るのが好きなだけです。

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