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『モノクロームの13手』柄刀一:読書感想

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Amazon様

     

内容(「BOOK」データベースより)
 加門耕次郎が気がつくと、見たこともない異様な世界にいた。荒れ果てた大地、濁った空、そして大地に描かれたマス目に配置された人々―。たくさんの人々が倒れている中、目覚めているのは4人だけ。生者の上空には白い丸が、死者の上空には黒い丸が浮かんでいた。どうやら、この世界はオセロゲームのルールに則って生死が決定されるらしい。圧倒的に不利な状況の中、神の手に対抗し、より多くの人々を甦らせる逆転の手はあるのか? 一手ごとに緊張感が高まる中、加門たちの運命は。




 『ルパン三世』で将棋だったかな? 人間が駒になって殺し合いをするお話を思い出しました。


 ↓ 以下、ネタバレあり。





     白は真ん中の四コマだけ、空白は四隅の16コマだけで後は黒に囲まれている。圧倒的に不利な状況の筈だったんだけど、オセロの名手優秀な外科医が入ってたお蔭で、ゲームには勝利出来た。


     で、その後どうなったんだろう? ここは煉獄で、勝利した時の生者のみ生き返れたのだろうか? それとも逆で、死者のみ生き返れたのだろうか? 死者より生者の方が顔色が悪い、ってのはそのことを指していたのだろうか? さまよえるひとは、次のゲームの升目に置かれてからスタートするのだろうか? それとも、勝とうが負けようが生者であろうが死者であろうが、さまよえるひとであろうが関係無く、いっぺんにリセットされて、死の世界か地獄にでも落とされるのだろうか? 
     加門耕次郎と茜達がその後どうなったかは、読者のご想像にお任せします……みたいなラストじゃなくて、ここ教えて欲しかったです! 

     角を黒にとられてからの13手が解からなかったです。やはり私は目先の数にとられて、次の手、先の手を読めないから、負けちゃいましたね。そうか相手にパスさせるように打つんだ。加門達は白しか打てないかと思ったら、黒の方も打つことが出来た。

     それでもコマは人間ですから、棋士?(オセロもこう表現して良いのか)の思うようには動いてくれません。なにせ棋士自身もコマの一つに過ぎないのですから、自分が生き残る為に他人を犠牲にしようとしてるかもしれず、いくらオセロの名手と解かっていても、カーラのように、ラインハルトを信用仕切ることなど出来ません。


     トリアージの経験もあり、臓器移植を必要な自分の息子の順番も客観的に判断出来たラインハルトだからこそ、勝利出来たようなもの。医師として避けては通れぬ選択だろうけど、きついよね。患者の命だけじゃなく、その家族の想いも伸し掛かって来るんだもん。ラインハルトを信じたカーラ、加門耕次郎良かったね。裏切られなくて。その分、悪役をアメリカ人チームに押しつけちゃった感があるけど……


     さまよえるひとを白のコマとして置く為に、意識を回復させなきゃいけない。コマの中に知り合いが居る方を優先させるってとこがよく解かりませんでした。初めの方で自ら穴の中に潜って黒に替わった青年、あれなんでだったんだろう?

     白として置くには説得しなきゃいけないけど、黒として置くなら即物的に殺せばイイ。ひぃ~サバイバルゲームには必ずこうやってゲームをかき乱すヒール居るよね。その場にあった岩を研いでナイフにして隠し持ってるなんて、どんだけ生存本能強いんだよ、ハッチャ―。
    自分が生き残る為に瞬時に次の手を読む能力、サラや友人達を言い包める口のうまさも持っている。現世でも世渡り上手で出世してただろうな。それでも人の心の奥底まで読むことまでは出来なかった。


      

    p239
    「そこを白にしても、すぐにはハリーは生き返らないけれど、先には希望がある」
    「な、なぜだ。お前を苦しめてきたあいつを、なぜそうまでして救おうとする」
    「ここにはお金がないからよ」
    「……なに?」
    「ハリーがおかしくなるのは、裕福な生活やお金に目が眩むせいなの。金儲けへの欲望が断てない。でも、ここには、そんなものは望んでもどこにもないのよ」
    「………」
    「お金に左右されて生活や気持ちを乱さなければ、ハリーには充分、いいところもあるの。金銭欲から解き放たれた彼に、わたしは会ってみたい。シェリーもそうよ」
    「シュガー……」
     ハッチャ―の目がふらりと、a3に向けられる。
    「妹は不運続きで、貧しい生活をしてきた。運命に虐げられていると感じてしまった彼女は、わたしのなけなしの蓄えにもコンプレックスを募らせた。でも、この奇妙な世界には、彼女がわたしにせびるようなお金はない。わたしとシェリーは公平よ。……昔の姉妹に、戻れるかもしれない」


     ハッチャ―の策略に嵌らなかったサラの言葉に、感じるものがありました。表面だけ観ると、とっくに夫なんか愛想つかしてるだろう妻サラ。見た目不幸に見えても、夫婦のことは夫婦にしか解からないってこと。今この世界には何も持ってこれないお金も。お金が、夫と妹を惨めな思いにさせた。お金がなければ、お金に苦しめられてるDV夫も良いところがあるのよ。だからお金のないこの世界で、二人とやり直したいから、夫を殺すような升目にはいかない、って選択。
     どうやらこのアメリカ人チームが来たのは、嫉妬にかられたサラの夫が、サラの不倫相手友達ごと銃撃か爆破したのが原因みたいだったのに。う~ん、こんな夫を許せるサラってスゴイ。


     それとは逆に、京子の選択は夫に対して過酷。いや、私も当然だと思う。過去に酒酔い運転で、中学生に後遺症与えたのに懲りずまた運転して、自分と娘を道連れにした夫なんか、もうポイ! だよね。
     それでも幼子の愛を救うためには、他の生き返る人間の数なんか知っちゃこっちゃない、っての気持ちは解かるんだけど、でも、なんか許せないってやっぱり反発しちゃうよね。あれコマ同士が入れ替わるってことは出来なかったのか。自分のコマから離れて一定時間過ぎるとスキップして戻されちゃうから、駄目か。

     愛しい人が黒にされたまんまになると解かってたら、そりゃ他の人間の命なんかど~でも良くなるよね。例え他の人間殺してでも助けたいって思うよね。あの中に、そんな人が居ないと、平等にしろよズルするなよ! って阻止するよね。全体の幸福を主張して。





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    tag : モノクロームの13手 柄刀一 オセロゲーム 神の翻訳 さまよえるひと

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    唯

    Author:唯
     読書感想が主です。探偵が登場する本格ミステリー好き。
    と言っても、難しいことは解らないのでトリックにはさほど関心無く、登場人物のやりとりを見るのが好きなだけです。

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