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『あなたが消えた夜に』中村文則:読書感想


Amazon様から画像もお借りしてます。
     

内容紹介
 ある町で発生した連続通り魔殺人事件。
所轄の刑事・中島と捜査一課の女刑事・小橋は
目撃証言による“コートの男”を追う。
しかし事件は、さらなる悲劇の序章に過ぎなかった。
コートの男”とは何者か。誰が、何のために人を殺すのか。
翻弄される男女の運命。神にも愛にも見捨てられた人間を、
人は救うことができるのか。

 いま世界が注目する人気作家。
デビューから13年、著者が初めて挑む警察小説。
人間存在を揺さぶる驚愕のミステリー!




 ↓ 以下、ネタバレあり。





     複雑に絡み合ったお話です。問題があるから事件にかかわったんだろうけど、不幸? な人物多過ぎます。刑事にとって忘れられない少年と、当然何か関係あるんだろうな、と思ってたんですけど……放火癖のあっためぐみと刑事が関係あったのなら、納得出来たのに。連続通り魔事件の真相は、――えぇっ! そんなぁ~って感じでしたね。


    p287
     きみは学校でいじめを受けるようになった。クラスメイトとしゃべろうとせず、絵ばかり描く子供がいじめられないのは難しい。以前は、担任だった体育教師が目を光らせ、親身に彼女を気遣ってたからいじめはなかった。だがその担任が辞めた後、新しく来た教師の下でいじめが再開した。
    「その前の担任の先生は、高校生と関係を持っていたことが学校にばれて、辞めさせられたの。でも私には関係なかった。その先生がどんな恋愛をしてたかなんてどうでもいい。私を守ってくれて、いい先生だったから。……新しく来た先生は、とても真面目だったけど、私のいじめをずっと巧妙に見て見ぬ振りをしていた。私さえ黙っていれば、まるで問題そのものがないみたいに。……ああいう人が、いい先生、になるの」





     そうですよね。その人が他の人にとってどんな人かなんてど~でもいい。例え人殺しだったとしても、めぐみのような境遇なら、変わらずその人を慕ったでしょう。母にさえ憎まれていためぐみには、護ってくれる人こそ神。悪魔でもイイ。
     要領のイイ器用な人間が信頼され出世する。宮部みゆき『ソロモンの偽証』でも、いじめを見ぬ振りしていた教師が校長になっていた。
    めぐみにとっては、役に立たない善人より、手を差し伸べてくれる悪人の方が必要。



    p299
     社会の厳しさ、のようなことを、よく言われる。でも社会の厳しさとは何だろう? 看板を手に持つことと、看板を被ることを比べ、実際に、集客力が変わるとでもいうのだろうか? 歌うように言うことで? 非論理的過ぎると思った。
     簡単に言えば、これは新しく入った者がする通過儀礼だった。新人をそういう扱いにすることを、彼らは望んでいた。「社会の厳しさ」は結局人がつくるものだ。




     そう言う通過儀礼を受けて組織の中に組み込まれていった人達が、組織の団結力、組織の圧を感じ過ぎて、空気読んだ結果、犯罪まで見過ごすことにならなければイイのだけど。めぐみを見捨てた担任、真面目ないい先生のように。


     理不尽な体験も必要なんだな、って最近になって思うようになりました。めぐみのように幼い頃から理不尽な体験させられてきた子供には必要ないけど。上に押しつけられたいっけん無駄馬鹿馬鹿しい時間
    の過ごし方も有りかと。嫌ですけど。マツコ有吉の『理不尽な体験も楽しめるようになれば乙なもんよ~』の発言に、ハッとしたもんで。
    ――でも、やっぱり嫌。出来るなら避けたい。
    『お前普段からそれ程嫌な思いしてるのかぁ~?』
    してません。確かに。すみません……


     


    p340
     きみのいない人生で幸福になるより、きみのいる人生で不幸になることを選ぶ。そう思っていた。




     くどき文句のよう。言葉にすると恰好良いけど、なかなかねぇ~
    自分では相手を幸福に出来ないのなら、不幸になるのが解かってても付き合うしかない。いいや、彼はそもそも不幸な女が好きだから。ダウメンズ? はなっから幸福になる気がないのか。そう考えると、私は幸福と言う言葉にとらわれ過ぎてる気がする。幸福ってなぁに?


    p308
    「……なぜ彼女が他の男と寝るのだと思いますか?」
    「は? それは」
    「内因性オピオイドです」
     米村が僕に近づく。
    「……人間とは本当に不思議な存在です。内因性オピオイドは、脳内の物質です。ストレスを感じた時、それを軽減させるために救出させるため放出される快楽物質。虐待を受ける時、それは自己保存的に放出される場合がある。もちろんそこに快楽はない。ただ苦痛を弱くしようとするだけだ。でもそれがまれに過剰供給されてしまうケースがある」
    「過剰?」
    「まるで癖のように。それが過剰供給されてしまえば、その個人は同じようなことを繰り返すことになる。恐ろしさを感じながら、その恐怖やスリルに取り込まれていく。……たとえば不特定多数の男性に抱かれるというような」




     W・E・イェイツ『残酷な神が支配する』ですね。
    どうすれば良いんでしょう? こう言う不幸脳? に育成された子。もっと別のショックを与えて。サバイバルゲームにでも放り込む? 一度記憶をリセットできれば。幸福脳の他人の記憶を刷り込む? ドラマ『眠りの森』でやってたような。

     めぐみが自殺したのは、精神科医の洗脳どおり十人目の男なのに、自分の人生が好転しなかったから絶望して?



    p414
     人のそばから何かが消えた時、狂気はその人間を誘惑する。



     日本で増加する一方のストーカー事件を言ってるのか?
    たった一度棄てられただけで、地獄の底を見たかのように(刑事に呪詛のように言った時はどれほど悲惨な体験したのかと思っちゃった)恨んでいるめぐみの母は、悪女と言うより性悪女。こんなヤツは親になっちゃいけない、親になっても子供を育てようなんてしちゃいけない。


     連続通り魔事件の余計な犯人達無しで、解かり易い方が良かったんじゃないでしょうか? 罪悪感を持っている刑事が、精神科医に洗脳され自殺しためぐみの為に事件を起こす、そんな単純な流れじゃ駄目だったんでしょうか? 百ページ位減らして欲しかった。めぐみ自殺じゃなく犯人に殺されてあげれば良かったのに。その逆でも。

     刑事と科原にとってはハッピーエンド? 不幸な女好きな男が、自分に愛されることで幸福な女になったのなら、その幸福な女を愛し続けることが出来るのでしょうか。


     他の方の感想を観なけりゃ気づきませんでした。
    表紙の画は、犯人がめぐみの墓で焼いた、犯行の告白文を表していたんですね。



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    ジャンル : 小説・文学

    tag : あなたが消えた夜に 中村文則 連続通り魔 洗脳 オピオイド コートの男

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    Author:唯
     読書感想が主です。探偵が登場する本格ミステリー好き。
    と言っても、難しいことは解らないのでトリックにはさほど関心無く、登場人物のやりとりを見るのが好きなだけです。

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