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『営繕かるかや怪異譚』小野 不由美:読書感想

角川書店単行本 2014/12/1 1.620円

Amazon様から画像もお借りしてます
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内容紹介
◎亡くなった叔母から受け継いだ町屋。あるとき一人暮らしの私は気がつく。ふだんまったく使わない奥座敷に通じる障子が、何度閉めても――開いている。(「奥庭より」)

◎古色蒼然とした武家屋敷に住む母親は言った。「屋根裏に誰かいるのよ」。最初は息子も嫁も孫娘も見えなかった。しかし……。(「屋根裏に」)

袋小路の奥に建つ古屋を祖母から受け継いだ。ある雨の日、鈴の音とともに喪服姿の女性が隣家の玄関先に立っているのを見掛けた。一目で、見てはいけないものだと分かった。(「雨の鈴」)

◎亡くなった祖父の会計事務所を継ぐため、家族で郷里に帰った父。思春期真っ只中の真菜香は、何もかもが嫌だった。あるとき、見知らぬ老人が家の中のそこここにいるのを見掛けるようになった。(「異形のひと」)      

         ほか全6篇を収録。


【営繕】の意味
建造物の新築と修繕のこと。(三省堂『新明解国語辞典』第四版より)
一般的には模様替(リフォーム)なども含む。


【かるかや】の意味
山野に自生する多年草。葉はイネに似て、秋、ムギの穂に似た小さい花を葉のわきにつける。高さは1.5メートルくらいに達する。(三省堂『新明解国語辞典』第四版より)


   内容(「BOOK」データベースより)
 この家には障りがある―住居にまつわる怪異を、営繕屋・尾端が、鮮やかに修繕する。心ふるわす恐怖と感動の物語。





「鬼談百景」「残穢」の流れか……あぁ言う夜思い出して怖いのは、もう読まないようにしよう! と決めてたのに、やっぱり見かけたら手に取ってしまいました。臆病者の癖に懲りない奴、ブルブル。

 表紙を開けてみると、違うシリーズのようで安心しました。営繕屋さんが、コージーミステリの探偵のような軽さで登場し、住民の問題を手際よく片付けてくれるので、読み易かったです。




 ↓ 以下、ネタバレあり。




     祟りじゃなく障り。大半が悪意の無い霊。息子夫婦に虐待されていたお爺ちゃんのお話とか、生きている人間の心の方が怖いお話でした。秦も尾端もゴーストハンターでは無いので、死んでもなおそこに居続けなければならない彼らを成仏させてあげられないないから、根本的な解決は出来ない。地縛霊? となった彼等が可哀想。


     営繕屋尾端は、障りを起こしている霊を、生きている人間と同じ思考で扱い修繕する。依頼主は経済的に余裕が無い女性が多いから、こんな家もういやっ! って引っ越すことも、大がかりな改築工事をする訳にもいかない。費用も考えてくれるんだよね。


    「雨の鈴」
     あの女は雨の日に真っ直ぐしか来れない、ってとこがゲーム感覚でおかしい。袋小路の奥は門を造らない。例え不義理になっても、お悔やみを言う家を、間違えないようにしよう。 ←当たり前だ!
     次は自分、と解かってても経済的理由で逃げ出さない有扶子。もともと子供の頃から耐性があったのと、悪意は無いと感じ取っていたからでは? 一人暮らしの女性には、これ位の平屋がちょうど良い。


    「奥庭より」
     一人暮らしで中年に差し掛かっている女性には、広過ぎる家。ま、部屋数も多いおかげで、前からの住人に一部屋占拠されても構わないんだけど。祥子は経済的に余裕があったから、引っ越そうと思えば出来たのに、寄る辺にしてしまった。ここ、お詣りのように、毎日座敷に水差し置くだけじゃ駄目だったの?


    「異形のひと」
     少女だけが視えたのは、思春期特有のものか、寂しかったからか。
    尾端、少女には内緒にしてた長持ち何に使ったんだろ? 僧侶の秦も来てたし、真菜香には語っていない問題がまだあったのだろうか?


    「檻の外」

    p254
    「虐待されるお子さんは、不思議なほど親を怨まないのです。もちろん、親の振る舞いに不満を感じてはいるのですが、どこかで叱られる自分も悪い、期待に応えられない自分も非があると感じているように見えます」
     麻美は、どきりとした。「期待に応えられない自分にも非がある」という言葉が、不思議なほど胸に刺さった。
    「特に小さいお子さんは、どんな仕打ちを受けても慕わしさが勝る――そんなふうに見えますのです。だから周囲が親を責めても庇う。なんとか子供を保護しようとしても、肝心の子供が嘘をついてでも事実を隠そうとするのです。ある程度の年齢になるまでは、そういう例のほうが多い気がいたします」
    「そう……なんですか?」
    「やはり子供にとって親は、それだけ、かけがえのない存在だということなのでしょうか。あるいは、そもそも親の是非を考えることなど、念頭にも浮かばないものなのかもしれません。そのあたりのことは私にも分かりませんが、当の子供が必死に親を庇おうとしているのを見たり、自分を責めているのを見たりすると本当に悲劇的なことだと思うのです。いっそ親を怨んで怒ってくれれば――子供のほうが親を見捨ててくれれば、救うことだって簡単になるのに、と」



     僧侶の秦の口ぶりだと、恨みがある祟る霊の方が、対処し易いように感じましたね。『残穢』のはもう、除霊不可能、関わるのも語るのも止めといた方が良いみたいな怖さだったけど。 


    p258
    「お前の親もたいがだと思うぜ」と、平松は言った。
    「殴る蹴るだけが酷いことじゃないだろ?」


    p249
     そんな物件だったんだ、と思った。親は恩着せがましく、「格安にしてもらった」と言っていたが、そもそも事故物件だった。
     ――親は知らなかった、ということはあるだろうか?
     考えてみて、なさそうだ、と思った。隣近所のことさえ親戚のことのように熟知している。ましてや実際に親戚で、その持ち家で事故があって、それが耳に入っていないはずがない。
    「本当に、厄介払いだったんだなあ……」
     呟いてから、麻美は首を横に振った。



     『平気で嘘をつく人々』と言う本を思い出しました。息子のクリスマスプレゼントに、拳銃自殺した兄の銃を、贈った両親を。両親の言い分はこんな感じでした。「うちは経済的余裕が無いから、死んだ兄の物を弟に贈って、何が悪いの?」とあっけらかんです。
     こう言う人間とは、どれだけ言葉のやりとりしても一生、解かりあえないな……と思いました。

     麻美の両親と親戚とも、こう言う人達とは関わりあいたくないな……と思いました。私には、若い頃逮捕された平松の方が、まともな人間に見えます。きっと、優秀な息子を持った麻美の両親や不動産を持っている親戚の方が、世間様から評価されて居るのでしょう。なんて酷い、許せない! って怒りが湧いてきました。その後、自分がいかに恵まれた環境に生まれたのか思い知りました。


     親戚なのにワケあり物件を黙って貸していたから酷い、って訳じゃなく、他人だとしても大家として駄目でしょ。プロの不動産屋じゃないから、貸主責任問われないのでしょうか? 少なくとも同じ境遇のシングルマザーに、事故物件だと告げずに貸すのは、悪意でしょ。自腹でガレージ建て替えるなら良いけど、壊すのは駄目って、なんでそんなに拘ったんでしょう? 普通ならお祓いして壊すだろうに。事故または事件起こされたら、親戚も両親も困るだろうに。麻美も身内の縁は捨てるしかないですね。昔馴染みの健吾から平松達に繋がったことが救いですね。


     営繕屋さんの言うように考えてみると、扱い方さえ知れば害の無い住民ばかりで、可愛ささえ感じるかも。これも畑や庭を荒らす狸やイタチのようなもので、自然と共存するってことと同じで、家の歴史と共存するってことかも。


     その建物自体を取り壊していたら、どうなっていたのだろう?
    「屋根裏に」とか「潮満ちの井戸」とかは危なそう。



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    tag : 営繕かるかや怪異譚 小野不由美 障り 町屋 袋小路 城下町 河童 事故物件 武家屋敷 井戸

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    Author:唯
     読書感想が主です。探偵が登場する本格ミステリー好き。
    と言っても、難しいことは解らないのでトリックにはさほど関心無く、登場人物のやりとりを見るのが好きなだけです。

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