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『暗黒女子』秋吉 理香子:読書感想

[双葉社単行本]1.470円

                                     内容

 聖母女子高等学院で、一番美しく一番カリスマ性のある女生徒が死んだ。今晩学校に集められたのは、彼女を殺したと噂される、同じ文学サークルの「容疑者」たち。彼女たちは一人ずつ、自分が推理した彼女の死の真相を発表することに。会は「告発」の場となり、うら若き容疑者たちの「信じられない姿」が明かされていき――。全ての予想を裏切る黒い結末まで、一気読み必至!



 初めからスルッと読めて面白かったです。――うん! 私の予想も裏切った結末でしたね。こう言うのって、たいてい最後のひとが犯人だよね? って思っていたから。しかも、女子会なのに、闇鍋って怪し過ぎでしょ。容疑者の身でありながら、よく、出された飲食物に口つけれるよ、と思いましたね。

             会長澄川小百合開会挨拶
 p15
 わたしたちの年頃の友情って、両極端だと思わない? 似た者同士で、強く惹かれあうか憎みあうか、または正反対同士で、強く惹かれあうか憎みあうか。その中間なんて存在しないの。大人になるにつれて、そのあたりは器用にコントロールできるようになるのかもしれない。似ていても似ていなくても、気が合っても合わなくても、それなりに処世術を身につけて、要領よく社会を泳いでいけるようになるんだわ。
 だけど、わたしたちの年代には無理。だってわたしたちにとっては、自分の感情と感性が一番大事なんだもの。何よりも守らなくてはならないものよ。だから自分というものを殺すか、それとも殺されるか――女子の友情って、いつもギリギリのところ。命がけのサバイバルだわ。特に、そうね、こんな女子校では、そうでしょ、みんな?


 

            ブルガリアの留学生ディアナの目線。
P120
 どの国にも女子校はあるのでしょうが、日本の女子校は、それだけが独立した異空間のような感じがするのです。
 その異空間の中で、女生徒たちはきりきりと主導権という糸を引っ張り合っています。その糸は痛々しいほどにピンと張りつめ、まるで針金のように手を縛り上げ、傷つけます。主導権とは、奪う方も、守る方も、無傷ではいられないものなのです。それなのに、表面では彼女達は無関心を装い、笑顔で他愛ない会話をします。
 しかし、そのうちにわたしにはわかってきました。この学校――つまり女子高という特殊な環境では、多かれ少なかれ、みんながそういうやりとりを日々行っているということを。誰がリーダーなのか、誰が力を持っているのか、誰が主導権を握っているのか――女生徒たちは、敏感に嗅ぎつけ、嗅ぎ訳、隙あらば手綱を奪ってやろうと狙っているのです。わたしが垣間見た日本の女子高とは、そういう場所でした。
 教室には、何本もの糸が張り巡らされているようでした。そしてその中を、誰も無関心でくぐり抜けることはできず、からめとられてしまうのです。おそらく、その何本もの糸――複雑なくもの巣のような――が見えていたのは、この学校で唯一の部外者である、わたしだけでした。



 ↑このきりきりとした異空間で唯一、自由自在に動き回れる女生徒、それがヒロイン白石いつみだった。

 テラスから転落したいつみの握っていたスズランの花、毒物を連想。娘が自殺? もしかしたら他殺されたかもしれないのに、葬式もせず口を閉ざす家族。このことから、死んだ少女にも後ろぐらいことがあるのが解かる。廃部になっていた文学部を、いつみが復帰させた理由、それは結構平凡で単純なものだった。


 ↓ 以下、ネタバレあり。



     ……ホホホ……これだけ暗黒メンバー集めといて、ひとり勝ち逃げは許さなくってよ! って感じの結末でしたね。今さら、ささやかな暮らしでもイイ温かい幸福を手に入れようとするだなんて、笑わすなよ! って。

     あのまま、いつみの復讐劇の結末だったのなら、小百合が犯人にならない? 五人に毒盛ってどうやって言い訳するつもりだったんでしょうね。まさか小百合も無理心中とか、させるつもりだったとか? そのへん、復讐劇を計画した小百合はどう答えていたんだろう。
     先生だって地下に潜ったわけじゃあるまいし、いつみの父なら裏稼業の人間を使ってでも、娘の居場所探し当てるでしょうに。全ては時間の問題。そしたら先生、今度こそ殺されちゃうよ。二人の逃避行に手を貸した小百合だって、お仕置きされたんじゃない? いつみ父、先生を探す、皮肉屋の先生、貧しい生活に耐え切れなくなり家に帰ったと思ったと言う、いつみ父、小百合を探る、文芸部を調べる。いつみ父、先生と小百合を始末する。文芸部を閉じる。後の五人も始末する方が簡単だと思うけど、医師志望の園子に管理させる、でどうかな? 


     美礼とあかねの章を読んだ後、いつみって人を陥れるのが好きなのかと思った。美礼には盗癖を、あかねには店を放火して洋菓子店の夢を断たせたのかと。美礼を泥棒に仕立ようとしたのはほんとだと思う。美礼が脅迫者の家からど~でもイイ物盗む必要ある? 
     あかねの店放火したのはいつみじゃなかったから、それほど悪人でも無かった。あかねのお兄さんに孕まされたのか、あかねのお父さんがいつみの家にはお節を作らなかったとか、そんな理由かと思った。

     いつみの父に、ブルガリアの熱愛写真、胎児のエコー写真を送ったのは誰か推理してみた。

     ブルガリアの熱愛写真は志夜、胎児のエコー写真は園子。

     殺人未遂と放火、それが教師との密通妊娠を、親に知らせるだけなんて、釣り合わないと思った。釣り合うのは、いつみの死だろう。ブルガリアの熱愛写真を撮ったのが、ディアナだったとしたら、それで脅迫して自分を留学させるよう、二人に迫っただろう。姉を崖から突き落したりなんかしなくて良かった筈。盗作なら釣り合うと思う。

     胎児のエコー写真は園子で間違い無いだろう。いつみが鏡を秘密の通路にしていたことを知っていた。病院でいつみを見かけていた。成績改ざんなら釣り合うだろう。いつみ父を誘惑していたかどうかは定かで無い。援助交際していた美礼の方がやりそうだけど。

     これ、脅迫されていた五人が共謀していたら、どうだろう? もっとうまくやれただろうに。五人が五人とも違う相手を犯人と名指ししていたことから、共謀していたとも思えるけど、それにしてはいつみを追い込む手順が甘過ぎる。いつみの弱みを握ろうとしたら、後つけるなり盗聴するなりするよね。美礼は経済的に弱いけど、志夜と園子だったら人を雇える筈だし、娘として親に助けを求める方が簡単。

     こんなに黒い連中ばかりなのに、本当の親友が居たなんて、つぐみってほんとツイてる娘よね。



     

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     ミッション系のお嬢様学校、暗黒の世界から癒されたい気分になった方には、白泉社:川原泉『笑う大天使』をお奨めします。


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    tag : 暗黒女子 秋吉理香子 女子高 お嬢様 闇鍋 いつみ 文芸サークル 鈴蘭 イヤミス 主役

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    Author:唯
     読書感想が主です。探偵が登場する本格ミステリー好き。
    と言っても、難しいことは解らないのでトリックにはさほど関心無く、登場人物のやりとりを見るのが好きなだけです。

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