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高見広春『バトル・ロワイヤル』感想

 私にとって、サバイバルゲームの元祖と言えば、この作品になると思う。
「今でしょ!」の林先生を見習って、内容を二十文字で要約してみた。
中学生に殺し合いをさせる政府のプログラム』先生! 句読点って必要ですか?
これだけでは、何のこっちゃか解からないでしょう? 

 では、太田出版発行(このサイズって何て言うんですか?)
         裏表紙に書かれた、あらすじをどうぞ↓

 西暦1997年、東洋の全体主義国家、大東亜共和国。この国では毎年、全国の中学3年生を対象に任意の50クラスを選び、国防上必要な戦闘シミュレーションと称する殺人ゲーム、“プログラム”を行なっていた。ゲームはクラスごとに実施、生徒たちは与えられた武器で互いに殺しあい、最後に残った一人だけは家に帰ることができる。香川県城岩町立城岩中学校3年B組の七原秋也ら生徒42人は、夜のうちに修学旅行のバスごと政府に拉致され、高松市沖の小さな島に連行された。催涙ガスによる眠りから覚めた秋也たちに、坂持金発と名乗る政府の役人が、“プログラム”の開始を告げる。ゲームの中に投げ込まれた少年、少女たちは、さまざまに行動する。殺す者、殺せない者、自殺をはかる者、狂う者。仲間をつくる者、孤独になる者。信じることができない者、なお信じようとする者。愛する気持ちと不信の交錯、そして流血…。ギリギリの状況における少年、少女たちの絶望的な青春を描いた問答無用、凶悪無比のデッド&ポップなデス・ゲーム小説


↓以下ネタバレあり。




    51E469HCA8L__SL500_AA300_.jpg 稚拙だと批評されていたけど、もっと稚拙な文章しか書けない私には、読むのも稚拙な文章が合うのかもしれない。ともかく読み易かった。同じ読み易いのでも、山田悠介の『リアル鬼ごっこは』今一だったなぁ~って、気がする。設定は面白いと思うが、私には物足りなかった。作者の作品に対する熱が違う。
    なんたって分量からして違うもんね。これぞロック魂? ぱらら……とワープロ叩いたんだろうか。読み易さは大切だけど、一番大切なのは中身だもんね。


    p10~11
    「つまり、バトルロイヤルってのはさ、うーん、普通はさ、プロレスってのはさ、一対一とかさ、あるいはチームを組んで二対二とかさ、そういう形で試合するだろう。けど、バトルロイヤルってのは、十人とか二十人とか、とにかく大勢が一緒にリングに上がるんだ。それで誰が誰に突っ掛ってもいい、一対一でも、一対十でも、それはおかまいしなだ。
     最後にはもちろん、二人になるね。一対一、そこは真剣勝負さ。そしたら最後に一人だけがリングに残っている。そいつの勝ちさ。わかったかい。えっ、いつも仲良しのやつはどうかって? いや、そりゃ、最初は協力するよ。だけど、最後はそいつともやり合わなきゃならない。それがルールなんだから。
     あぁ、それにはね。そういういつも仲良しってわけじゃないやつと協力してももちろんいいんだ。しかし、こいつと組んであいつをやっつけようと思ったところで、さっさりこいつ、の方に裏切られてやられるなんてこともあるね」



     先に映画を観ていたせいもあって、秋也は藤原竜也で、光子は柴咲コウ、貴子は栗山千明の顔が浮かんで、イメージしやすく一気に読めた。

     貴子は映画でも小説でもカッコよかったなぁ~弘樹が「お前は世界一カッコイイ女だ」と告げたのが解かる。こんな風に生きたいって思わせる一番お気に入りのキャラ。

     まず、仲良しの女子グループを組んで平和に過ごそうとする幸枝。
     グループのリーダーでありながら、桐山同様あえて一匹狼になる光子。もっとも光子の場合、メンバーを自分の盾にする気だったが、桐山のように信頼されてなかったせいだけど。歪みながらも心を持つ光子が信用されず、心を持たない桐山がリーダーとして信頼されていたのが皮肉。それともこれこそ本能、男女差なんだろうか?
     女子と群れることよりも、弘樹と会えることだけを願って、駆け抜ける陸上部の貴子。この女子三人が、頂点として対応する関係に見える。

    P452「俺は貴子をよく知っている。貴子は、進んで人を殺すような女でもないし、錯乱して誰にでも銃をぶっぱなすような女でもない。たとえこのクソゲームの最中だろうと」

     好きな幼馴染に、ここまで自分のこと解かっていて貰ったなら、幸福じゃない? 貴子。
    それでも、弘樹はよく解かっていない女の子の方に、恋心を抱く。一番に会いたいと捜していたのは、貴子だったにもかかわらず。瀕死の幼馴染を抱き締めながら、

    「あんた、好きなこいる?」「いるよ」「まさか、あたしじゃないわね」「ちがう」

    と言えちゃう弘樹がスゴイと思う。映画でも、えぇっ!? この状況で、正直さって必要ですか? って驚いた場面。ここ、嘘言っても貴子、怒んなかったと思うけど……もう、最後だからこそ、本当のことを言うべきだったのか。

     好きな人、信じている人のことを思いながら、死んでいった者は救われてる。彼と心中した、さくら。彼の残酷な本音を聞かされても、最期には彼に信じて貰えた好美。弘樹の腕の中で息を引き取った貴子。弘樹に想いを打ち明けられた加代子。貴子を看取り、探し当てた加代子に告白出来た弘樹。秋也に手を差し伸べられた裕子。騙されているのに光子を庇った優一郎。標的になる危険を承知しながら、二人してクラスメイトに呼びかけた友美子、雪子。誰かのことを想って、庇って死んでいけた者は幸福だった思う。亡き慶子を想い、典子と秋也を守り通した川田。

     この作品を愛読していた少女が殺人事件をおこして、ビデオ発売が延期になったそうだ。本当にこの作品に影響を受けて殺人をおかしたと言うのなら、この作品を読んで、どうして人殺しをしようなんて気になったのか、私には解からない。42人中の2人の方に、心を持っていかれたと言うことか?

     桐山にマシンガンなんて、まさに鬼に金棒じゃん! おまけに防弾チョッキまで手に入れるし。それにしても桐山お前はサイボーグか? ってくらい強い。心も持たないから誤作動もおきやしない。瑞穂なんか、振り向きもされず腕を伸ばすだけで撃たれちゃうくらい、死角が無い。それでいて、ケツに張り付くオカマの生徒を、罠にかけ禁止エリアでタイムアウトさせちゃう遊び心さえ持っている。最終戦は、川田、秋也とカーチェイスと銃撃戦を繰り広げるが、さまざまな銃が球切れして入れ直すまでのタイムラグをほとんど与えない。川田、秋也の方は、典子がせっせと球入れしてつないでいるのに。この完全無敵の中学生、当時25歳だった俳優は、川田役より、この桐山役が気に入り交替。一つあったセリフも、自ら排除したそうだ。映画では、このデスゲームの煽り役として、クラスメートにさせられたと言う設定だった。小説でも、つかみどころのないキャラ。ちらっと描写されていたけど、どう言う生い立ちだったのか、解からなかった。

    p453~454
    「いい人はいい人よ。ある局面ではね。けれど、その人もいつだって悪い人になりうるのよ。あるいは、一生いい人のままで終わる人だっているかもしれないけどね。そう、あなたはそうかもしれない」
    「ううん。そんなことはどうでもいいの。あたしは奪われるよりは奪う側に回ろうと思っているだけよ。そうすることがいいとか悪いとか、正しいとか間違ってるとか、言ってんじゃないわよ。あたしはだだ、“そうしたい”の」

     銃口を向けられながら反射的に、光子の盾になってくれた優一郎。これだけで、光子は一つだけましな人生だったと言える。

    p237~238
    「なあ、もし知ってるなら教えてくれないか」「なにを?」
    「このゲームの意味だ。こんなものに意味があるのか?」
    「あるわけないじゃないか、そんなもの」
    「じゃあ、なんでこんなものが続いているんだ?」
    「簡単だ。誰も何も言わないからだ。だから続いてる」
    「いいか。この国の役人はアホっばかりだ。しかもアホじゃなければ役人にはなれないときている。恐らく最初にこの幸せゲームが考案されたとき――多分どっかのイカレた軍事理論家が考えたんだろうが、誰も異を唱えなかったのさ。で、一旦始まったものを中止するってのは、この国じゃ恐ろしく難しいんだ。ほんとはみんなが反対してても、誰も何も言えない。だから何も変わらない」
    「おまえたちも、いや、俺を含めて、何も言い出せない筈だ。何かがおかしいと感じても。おまえたちだって、自分の生活の方が大切だろ?」
    典子が「恥ずかしいことだわ」と言った。


    p646
    「ほら、なんでローカルニュースで優勝者の映像を流すと思う? あれ見たらさ、確かにかわいそうだって思うかもしれないよ、そいつはそんなゲームはほんとうはいやだったのかもしれないって。しかし、そいつは結局、ほかのやつと闘うしかなかったんじゃないか。つまり、最後は誰も信じられやしない。みんなそう思うだろ? 
    そしたら力を合わせてクーデターをおこそうなんて誰も考えなくなるだろん―? 
    大東亜共和国とその理想は永遠に存続するんだよ。だったら、だよ。そんな崇高な目的のためなら、当然みんな平等に死ななきゃならない」



     ↑この坂持金発のキャラクターも面白い。映画でも、このキャラそのまま使って欲しかった。オリジナルの俳優さんはイメージがあるだろうから、オリジナルさんに似せて、怪優さんに演じて貰っても良かったのに。
    この担任教師役と典子役がどっちが先に決まったのか知らないけど、結果的に典子役が前田亜季に替わったことで、担任教師役のビートたけしとの関係が、小説よりも救いのある物語となって良かったと感じた。小説では冷酷無比な坂持金発が、センチメンタルな部分をのぞかせるお父さん像に仕上がっている。反抗期の娘から口もききたくない扱いをされている父親。それでいて父は、担任になったクラスの優しい女の子に、娘の面影を求めて、少女をマリアに見立てた温かい絵を描いていた。いかにも気の強そうな顔の前田愛に比べ、妹の前田亜季は穏やかな顔。守ってあげたくなる少女、ってところもうまい具合にはまっていたと思う。担任教師は彼にとってマリアの典子を守らせるために、秋也を生き延びさせる。実の娘の最後の電話には、未練を断ち切るような捨て台詞投げつけたのに。思いっきり担任教師キタノの私情が入ったゲーム操作されていたのなら、最初にキタノがナイフを投げつけた女生徒は、普段から嫌いな生徒だったのか。映画ではトトカルチョのこと触れてなかったような気がする。






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    tag : バトル・ロワイヤル サバイバル・ゲーム 映画 R15 高見広春 小説 中学生 修学旅行 禁止エリア 首輪

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    Author:唯
     読書感想が主です。探偵が登場する本格ミステリー好き。
    と言っても、難しいことは解らないのでトリックにはさほど関心無く、登場人物のやりとりを見るのが好きなだけです。

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