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小説感想:東野圭吾『パラドックス13』

                        

あらすじ

 3月13日13時13分13秒、ブラックホールの影響でP-13と呼ばれる現象が発生することへの対策が政府の間で極秘に進められていた。学者や政府関係者ですら、具体的にどういう現象が発生し、どういう影響を受けるのか詳細につかめないため、関係各署には、その時間だけ危険な作業を中断し、危険な場所から離れるよう通達だけされたが、国民に混乱が起きないよう、この情報自体はその時が過ぎるまでの極秘事項として決して公開されなかった。

 一方、刑事の久我冬樹は同じく警視庁の管理官である兄・誠哉とともに強盗犯の確保に取り掛かっていたが、冬樹のミスにより、誠哉が犯行グループに撃たれ、冬樹もまた、犯人の撃った弾を受けてしまう。衝撃の後、冬樹は意識を取り戻すが東京の街には誰もいなくなっていた。街を歩き、見つけたのは同じような現象に出くわした10人でその中には死んだはずの誠哉もいた。そして、状況が飲めない彼らは、廃墟と化した東京をさまようことになり、そこへ数々の天変地異、そして疫病が襲う…。



↓ 以下ネタバレあり





まず、『パラドックス13』と言うタイトルから、もっと数学的とか科学的にとか、複雑に絡み合ったタイムスリップものかと思って手に取りました。魔の13秒が毎日繰り返されて、その度に知らない場所に移動して居たり、知らない人が現れたりとかね。もっとも理科系の解説されても、全然理解出来なかったと思うけど。


 私の脳内では舞台設定が映画『日本沈没』『復活の日』と重なりました。読み進める中に、ありましたね。女性達をイヴに仕立てようとしたところ、レイプ事件が発端でしたよね。ここまでくると、草刈正雄とオリヴィア・ハッセーが久しぶりに再会して抱き合うところを、「オリヴィア~! 今夜のオカズは?」「正雄、豚カツよ~!」と叫びあい「トンカツの日」って、描かれてた4コマ漫画まで思い出してしまいました。


 キャッチフレーズの「世界が変われば善悪も変わる。人殺しが善になることもある。これはそういうお話です」

 の意味を、世界が一転するから悪党が頭になって悪が蔓延るのかな~と思って読んでいたら、そうじゃなかったですね。登場人物達はみな悪人ではありませんでした。神戸の震災を舞台にした『幻夜』の作者としては、優しい人物設定だった気がします。安楽死などの問題提起は、平和な現代でも同じなんじゃないかなぁ~と思ってしまいましたね。登場人物達の現状これって緊急避難ですよね? 仕方無いんじゃないの。むしろ、自分を犠牲にしてでも他人を助けるのが当たり前みたいに思え行動出来る、久我兄弟に違和感。映像『漂流教室』を思い出し『暗黒学校』を読んだ後だから尚更。生存者内でのいがみ合いはあっても、殺し合いは無かったですね。校舎とかの閉鎖的空間じゃないから、グループ行動の方を重視するのかな? しかし、実際に安楽死の注射を打たされた看護師菜々美の『あんな行いは二度と嫌です』実体験で味わった思いは切り捨てられない。 


 太一が、赤ん坊の一の食料、粉ミルクを舐めた時どう対処すれば良いのか? 食事を一日抜きとかしたら飢餓感から却って凶暴になりそうで怖いし、仕事を追加させるとかの処罰で良かったんだろうか。
 誠哉の突き放した言葉の意味を、正確に読み取った太一は身に染みて、赤ん坊を抱くことを自ら申し出て良い結果になったけど。あの時、鍵を掛けて保管している食料の方に手を出していたら、皆の反応はもっと殺気立ったものになっていたよね。


 常にギリギリセーフの状態だったんだよね。
 インフルエンザが移り出した時も、冬樹が無謀にも明日香を連れてタミフルを取って来なかったら、あそこで絶滅していたかもしれないし。
  誠哉がどんなに冷静に建設的な計画を立てても、一寸先は闇ここで進むか留まるか、ギャンブルみたいな状況、個人の生死に関わることなんだから、個人に決めさせればイイんじゃないかと思いましたね。

 皆がそれぞれ、P13現象の間に死んだんだと認識した時、いや、ちょっと待って。互いに死んでるのを確認しては居ないんじゃないの? と、北村薫の『ターン』を思い出していました。あれでいくと、誠哉の言うように、最後まで前向きに生きた人間が元の世界に生き返れると言うもの。だったらここで自棄になっちゃ駄目だよ、教えてあげたい気分で読み切ったら、誠哉は彼らしい格好イイ最期を遂げてしまい。もう死にたいと投げやりになっていた菜々美は復活出来、結局、よりもどしのR13の間まで生き残れた人間だけが元の世界に戻れるってことだった。
 
 より返しのR13の間に死ねば、元の世界に戻れるんじゃないかと期待して、河瀬と小峰が電子時計の平均値まで調べて正確な時間を割り出そうとする。人間って、13秒の間に絶命出来るのだろうか? それってどんな場合だろ? ギロチンで切断された首や体がピクピクと痙攣したのは、あくまでも筋肉の動きだけで息絶えていたのだろうか? 口を開けてピストルを発射すると言うのも、間違いなくピンポイントで当てられるんだろうか。それってすっごく難しいんじゃ……どうしても死ぬことが正解とは思えなかったから、疑問が残った。だいたい即死って言葉は、どれくらいの時間を指してるのか。

 

 こう言う感じかな? と期待して手に取った内容とは違ったけど、それが却って読みやすかったかも。それでも、この作者にしては、もっとあっと言わせるような、仕掛けがあっても良かったんじゃないだろうか、と物足りなさを感じた。

 復活出来た河瀬の生死だけ曖昧にしたのは、どうしてなんだろう?

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tag : 東野圭吾 パラドックス13 小説 白いページ 感想

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 読書感想が主です。探偵が登場する本格ミステリー好き。
と言っても、難しいことは解らないのでトリックにはさほど関心無く、登場人物のやりとりを見るのが好きなだけです。

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